三沢エンジニアリング株式会社

蓄積したノウハウを活かし 次なる時代の市場にチャレンジ

新商品にかける熱き思い

空港がある三沢市で育った平内社長。「私たちにとって飛行機は身近な存在。飛行機にとって大敵な霧や強風、雪といった厳しい環境も、生活の中で自然と把握している私たちだからこそ、いいモノがつくれるのではないかと思っています。」そんな思いをモノづくり力に変え、今はまだ社内生産全体の3%しかない航空機分野の生産拡大を着々と進めていきたい考えだ。

三沢エンジニアリング株式会社

開発商品の内容 高い技術力で小型軽量化を実現

 航空機で重要な役割を担う精密角度センサー

 

昭和47年の創業以来、巻線技術を核とする精密角度センサーやモーターの生産に取り組んできた三沢エンジニアリング(株)。角度センサーとはモーター軸などの回転角を検出するセンサーで、航空機や船舶、産業ロボットなどに使われる。
 過去に同社が開発した航空機向け角度センサーは、ボーイング787型機に採用されているが、この度元気チャレンジの助成を受けて製品の小型軽量化に取り組み、小型・中型機向けの精密小型角度センサーの開発に成功した。
 角度センサーは、電子部品を使わないアナログセンサー。「構造的には非常にシンプルなもの。」という平内社長だが、巻きつけられている銅線(コイル)は髪の毛よりも細いうえ、精密部品を素材から安定して削り出す技術も必要となる。加工精度が製品性能に大きく影響することから、全てにおいて高い技術が要求される中、これまではコイルの巻線工程を手作業で行ってきたが、生産効率の向上を目指し、同工程を自動化する生産システムの構築にも取り組んだ。
 実際に航空機に取り付けられるまでには、制御機器メーカーなどによる何重ものチェックを経て、時には差し戻されて調整し直すこともあるとか。現在、メーカーによる品質テストの真っ最中。航空機に搭載され、大空に向けて羽ばたく日が待ち遠しい。

事業化までの道のり 需要の変化に対応

 同社の製品は航空機や船舶、新幹線などに採用されてきた

 

 すでに航空機用精密角度センサーの製造実績を持つ同社が本事業を開始した背景には、民間航空機の需要シフトがあった。「今、航空機産業では省エネルギー性や機能性等の観点から、大型機から中・小型機への移行が進んでおり、これからはそれらが主流になっていくと予想されます。当然そのシステムに組み込まれる角度センサーも小型軽量化が要求されることになる。開発には1機種あたり3年ほど要するので、求められてから取り組んでいたのでは遅いという思いから早々に着手しました。」市場を先読みし、技術の進歩に遅れをとらぬよう、航空機分野をはじめとする様々な分野での技術的ノウハウを活かして、次のステージへのチャレンジが始まった。

助成金活用の経緯とメリット 費用対効果の検証も

 事業化するにあたって、まず取り組んだのは情報収集。全国の航空機専用の材料を扱うメーカーをまわったという。「助成金を旅費に使いました。普段はなかなかそこに経費をかけることができず、助成金を使えたからこそのこと。実際に目で見て話をする重要性を再認識しました。」助成金を活用し、これまでとは違った取り組みをしたことで、それらの「費用対効果の検証ができた。」こともメリットとして挙げ、次に活かしたいとしている。
 その他にも助成金を活用することで、外注先の協力を得て試作を行い、コア技術である巻線の仕様決めの時間短縮ができたという。

製品が完成したここからがスタート

 世界で最も安全な乗り物といわれる航空機。「求められるのは、決して不具合を起こさない製品。」と、小さな部品に至るまで最高レベルの技術が要求される。その上、今後さらに規模が膨らむとみられている民間航空機市場で海外企業と競り合っていくには、変化に対応できる瞬発力も必要だ。今回、従来の角度センサーに比べ27%の小型軽量化を実現しただけでなく、巻線工程の自動化や離れた工場での作業を同じ工場内に集約したことで、生産効率向上も実現させた同社。「製品開発がゴールではなく、あくまでスタート。さらに生産性を向上させ、シェア拡大に努めていきたい。」と意気込む。

目標としていた新たに二人の雇用も生み出した
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企業プロフィール

  1. ■企業名三沢エンジニアリング株式会社 
  2. ■所在地三沢市南町3-31-2779
  3. ■TEL0176(57)4171
  4. ■URLwww.misawa-eg.co.jp/
  5. ■代表者名平内 康秀
  6. ■従業員数218名
  7. ■資本金1,000万円
  8. ■採択年度平成25年度下期
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