ミリオン株式会社

「健康の支えになる会社でありたい」~地域に密着した新機能性食品の開発代表取締役 柴田 浩夫さん

産学官連携で商品開発

「46歳で脱サラして妻と二人で始めました。」と語るのは柴田社長です。「真の健康を創造すること」を目的に、昭和60年に創業し、平成2年からは、ニンニク栄養補助食品「ミリオンパワー」の特約店として、東北をカバー。その後、数々の健康食品を扱ってきました。
 「ながいもに、抗インフルエンザウイルス活性があるということがわかったのが、事の始まりです。」青森県環境保健センターと弘前大学地域共同研究センターの研究結果を受け、平成18年には、産学官共同で、加工食品化に関する研究が進められることになり、翌年からこのプロジェクトに参加。ながいもに含まれるインフルエンザ感染抑制成分を配合した錠剤や飴などの商品開発に携わってきました。
 平成22年には、青森県産ながいもの加工食品開発と販売事業が、国の「地域産業資源活用事業」に認定されました。

製剤工場設立により、商品研究から販売までの一元化が実現開発が進んでいた「ながいもきゃんでぃ」には、新たにりんご味・ミント味・黒糖味が加わった

コラーゲンやヒアルロン酸と並ぶ注目の成分を活用

商品開発の実績を積んだミリオンの新たな挑戦。それは、自社製剤工場での県産素材を使った機能性食品(サプリメント)の開発でした。
 元気チャレンジの助成によって誕生した「プロテオコサミン」は、プロテオグリカンとサメ軟骨を使ったサプリメントです。
 プロテオグリカンは、タンパク質と糖鎖が共有結合した複合糖質の一種で、動物の軟骨を構成する物質の一つ。弘前大学の研究により、サケの鼻軟骨から、有害試薬を用いずに精製する技術が確立されました。保湿性に優れ、細胞活性化機能を有する
ことから、「化粧品やサプリメントへの活用が期待されていましたが、素材自体が高価だったため、手を出せずにいました。大幅に値段が下がったことをきっかけに、サプリメント開発に乗り出したんです。」
 そしてそこに、健康維持には欠かせない栄養成分が豊富に含まれている「サメ軟骨」をプラス。青森近海で捕れるアブラツノザメの活用です。「プロテオコサミン」は青森県産の水産物を使った、地域に密着した商品です。

青森県初の製剤工場による生産体制

 これまで商品製造は、それぞれ県内外の専門業者に発注していたものの、外注する分コストもかかり、ロット数も大口になってしまう―。以前から「地産・地消・地工」を念頭に置き、製剤工場の設立を考えていたという柴田社長。今回のチャレンジは、自社工場生産を想定してのスタートでした。「工場が稼働するまでは、試作機を導入し、開発を進めていました。」

 何度も試作を繰り返している中、開発に着手してから約半年後、念願の青森県初となる製剤工場が稼働。本生産も可能となり、商品完成が足早に近づいて来ました。
 同社が展開している化粧品サロンのお客様と社内スタッフを対象に、モニター調査を実施して反応をうかがいながら完成度を高めると同時に、自社でパッケージデザインを検討し、PR 用のチラシも製作。生産体制も整ったところで、満を持して販売がスタートしました。
 全ての工程を一貫して手掛け、出来上がった商品はやはり「思い入れが違う。」と言います。これまでは、仕入れた商品の卸・小売を中心として、また自社開発商品であっても製造は専門業者にお願いせざるを得ませんでしたが、これからは自社製造が基本となります。「自社商品を直販する。これが本命ですから。」と柴田社長。

 現在製剤工場は、県内外の関係業者からのODM(Original Design Manufacturing:受託製造)をメインに稼働しています。「自社商品が売れるには時間が必要ですから、稼働率を上げるための措置です。しかし、3年以内にはODM と自社商品生産の比率を逆転させたいと思っています。新商品も増やしていくつもりです。」と、すでに次の商品開発に着手しているようです。製造元という重大な責任を感じながら、今、新たなステージを迎えました。

プロテオコサミン 製作機は、商品開発の立役者 デザイン設計から製造まで一貫して行える

Map

  1. ■社 名 ミリオン株式会社
  2. ■代表者 代表取締役 柴田 浩夫
  3. ■設立年 平成2年
  4. ■所在地 青森市問屋町1-9-6
  5. ■電 話 017-763-0880
  6. ■企業URL http://www.t-mirion.co.jp
  7. ■従業員数 18 名
  8. ■資本金 1,000 万円
  9. ■採択年度 平成23 年度下期
  10. ■事業内容 青森県産の農水産物プロテオグリカン、アブラツノザメを活用した新商品プロテオコサミン(錠剤)の開発とながいもを練り込んだ飴の開発
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