株式会社光白精工

使命感から始まった挑戦次なるステップは世界市場進出 取締役 電源事業部長 土岐泰義さん 電源事業部 営業企画部長 大井更純さん

下請け業者から電源メーカーへ

㈱光城精工は平成2年、半導体検査装置部品の製造を軸とした事業内容でその歴史が始まりました。大手メーカーの下請けとして、半導体などに使用される電子部品の微細加工をしていたものの、大口取引先の海外生産シフトや景気悪化の影響を受けていました。平成14年、リスク分散を目的に、電源メーカーとしての事業を立ち上げるため、エンジニアである土岐部長が入社。主にオーディオ用電源の企画開発・生産・販売に力を入れていくことになりました。  「この世界はエンジニアが命ですから。」と話すのは営業企画部の大井部長。東京で広告業に携わっていた頃に芳賀社長と出会い、その人柄と電源事業に将来性を感じ、3年かけて自分を売り込み、4年ほど前に入社に至りました。電源とは無縁の世界からの転職で、覚えなければならないことが山積だったそうですが、大井部長にとっても、本職である土岐部長にとっても、大きな大きな挑戦が始まるのです。

電気を供給する”電源”は生活の源 その責任を考え行われるモノづくり 生産過程やパーツの選定は細心の注意が払われる オーディオ電源の質も年々向上

「クリーンな電源環境」を考える

もともと電源に携わり分析や解析を行なってきた土岐部長は、「電源供給もとの不安定さなどが原因で、使用機材に誤動作などをもたらしているのではないか。」と、電源環境に疑いを持っていました。「コンセントに差し込みさえすればもちろん動きますが、実は電圧変動やノイズ発生、瞬時停電など様々な現象が起こっています。」実際に目に見えるものではないため理解しにくいものの、測定した波形をみると、建物内の電源は常に一定ではないことがわかります。  オーディオ電源の開発にあたり、「電源を安定化させきれいにすること」に音質改善の糸口があるのではないかと、日々回路設計と実験を繰り返した土岐さん。いわゆる、空気清浄機や浄水器のような役割を果たす電源。完成したオーディオ電源をコンセントにつなぎ、その電源にオーディオ機器をつなぐ―。  音楽機器に不具合が出なくなったことと、確実に音質が変わったと音楽専門家からもお墨付きをもらったことで、電気機器のパフォーマンスは電源環境に左右されるという考えが実証されました。  全国に電源メーカーは数あるものの、コンセントからの電気をきれいにつくり直して供給する「クリーン電源」に取り組んでいるメーカーはほとんどなく、それをやってのけた光城精工の知名度は上がりました。しかし、市場が小さいため、まだまだ経営の柱というには至りませんでした。  そんなある日、「医療機器メーカーから機器の誤作動で困っている、という相談がありました。」情報提供と自社調査で、そもそもの電源品質と外部からのノイズ混入の2つが医療機器誤作動の原因であることを突き止め、それらの誤作動原因をクリアにできる”カスタム品”の外付け電源を開発して納品しましたが、「さらに調査をしたところ、電源が原因と考えられる医療機器の誤作動事例が多数あることがわかったんです。」同じ時期に、医療専門誌が電源環境についての特集を組んだことで、クリーン電源は注目されるように。圧倒的に市場が大きい医療向け電源の開発に舵は取られたのです。

メーカーとしての「チャンス」と「高い壁」

“カスタム品”の外付け電源ではなく、何にでも使える“凡用性の高い”外付け電源が開発できれば、世界を相手に市場も格段に大きくなり、電源事業を経営の柱に押し上げることが出来ます。しかし、「医療機器の国際的な安全規格を取得するには、高い技術と時間、そしてお金がかかるんです。」と土岐部長。人の命に関わるものだからこそ、クリアしなければいけない要件が膨大で責任も重大。リスクが大きいため、どこのメーカーも尻り込みをしている状況だったとか。「決め手となったのは、必要なものを誰も作らないなら自分達がやるしかないという使命感ですね。困っている人がいるわけですから。」と大井部長。高いハードルを越えていく覚悟が決まったところで、元気チャレンジ助成事業に申請し、いよいよ大井部長の出番。自らがプレゼンに出向いてその覚悟と自信を伝え、採択を受けました。「あとは、エンジニアが開発してくれるのを待つだけでした(笑)。」  土岐部長を始めとする5人のエンジニアは、そこからが勝負。『小型』・『軽量』・『高精度』・『低価格』な、そして絶対に不具合の出ない医療用電源の開発と安全規格取得に向けて、長い戦いが始まりました。A4用紙で500枚程度の要件をクリアしなければならないのは、「正直大変でした。4?5回はやり直したと思います。」期間にして1年。平成24年2月に念願の、そして日本初の医療用電源として国際規格を取得しました。「まずはホッとしたというのが一番です。」周囲の期待や莫大な投資、そして助成も受けていたことで、相当なプレッシャーがあったに違いありませが、自分たちの技術を信じ突き進んだ先に、世界市場が見えて来ました。  価格の設定やボディデザインを経て、同年の夏に発売開始となった「医療機用安定化クリーン電源」は、出力量に応じた2ラインナップ。大井部長は展示会などに出向き商品をPRしています。「まずはクリーン電源という概念を知ってもらうことからのスタートです。最近は、”浄水器”ではなく、”高度浄水処理場”みたいなもの、と説明しています。」まずは関西圏の大学病院に導入が決まったとのこと。現在販売代理店との契約も進めているそうです。そして、土岐部長は、「生産効率をあげ、少ない数をいかに安くつくるかが、今後の課題。」といいます。  キャッチフレーズである「世界の電源をきれいに」を実現するため、一丸となって走り続けていきます。

厳しい国際規定をクリアし商品化にこぎつけた「医療機用安定化クリーン電源」

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  1. ■社 名 株式会社光城精工
  2. ■代表者 代表取締役 芳賀克之
  3. ■設立年 平成2年
  4. ■所在地 平川市大光寺一滝本54-1
  5. ■電 話 0172-44-4560
  6. ■従業員数 54名
  7. ■資本金 5,875万円
  8. ■採択年度 平成23年度上期
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