株式会社小坂工務店

「継続が大事」100年続く会社を目指していまやるべきことをやる代表取締役 小坂 仁志さん

変化が激しい時代の経営判断に心強い味方

三沢市の総合建設業・㈱小坂工務店が元気チャレンジの助成を受けて開発・商品化した「emi-system(エミ・システム)」は、中小建設業向けの工事進行基準システムで、建設現場の棚卸しが可能となるソフトウェアです。「建設業界ではこれまで棚卸しという概念がなく、いわゆるどんぶり勘定。工事が終わって、蓋を開けてみなければ収益がわからないという状況でした。」と話すのは、これまで社内のIT化をトップダウンで進めてきた小坂社長です。長期にわたる工事の進捗状況を正確に把握し、月ごとに収支状況を管理できるシステムソフトウェアを作り上げました。

 中小建設業において画期的なこの取り組みは、中小企業支援センター情報化優良企業表彰で県内企業初の「奨励企業賞」を受賞。IT 活用の模範として高い評価を受けました。
「このシステムにより収益の予測精度があがり、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)の確実な実行によって、正確な経営判断が出来るようになりました。」

 現在、OA機器販売会社と税理士法人などと連携して、販売の促進にあたっています。

検証を繰り返して誕生したemi-system

進歩・経営を見える化

中小建設業者は、工事が完成し引き渡しを完了した時点で売り上げを計上する収益認識基準の『工事完成基準』を採用しているのが一般的。しかし、長期間にわたって原価(費用)ばかりが認識され収益は認識されないため適正な期間損益が得られず、企業の実態を正しく表すことができないというデメリットが。これに対して『工事進行基準』は、工事の進行程度を見積り、その進捗度合いに応じた収益を月次決算する方法で、いわゆる棚卸しに当たる収益認識基準です。会計処理実務においても『工事完成基準』より手間がかかりますが、赤字やトラブルを早期に発見するためにも月次決算の必要性を感じていた小坂社長(当時専務)は、平成19年から『工事進行基準』を採用し、紙ベースで実施し始めます。
 この会計基準は、企業によってどちらか選択が可能だったものの、平成21年から『工事進行基準』が義務化されることに。まずは上場企業に適用され、ゆくゆくは中小企業も基準が一本化されることを知り、「それなら今からやろう、と。」社内IT化の一貫として、システムの構築に乗り出しました。
 これまでも、財務システムの電算化やLANの構築、コンピューターネットワークを活用した文書の共有や管理、情報の一元管理など、一早くIT化を進めてきた小坂社長。一通り導入し、工事進行基準システムを構築したところで、 (財)21あおもり産業総合支援センターによる『IT経営成熟度診断』を受けることに。「その時サポートにきたIT コーディネーターとの出会いが転機です。システム商品化のご提案をいただきました。」ITを活用した自社の基盤づくり構想が、業界共通システムの開発・商品化へと発展していきました。

データの積み重ねが会社存続につながる

自社仕様から一般的に使えるように改良し、商品化へこぎつけたものの、「まずは経営者に棚卸しの概念を植え付けなければなりません。販売はそこからのスタートです。」まだ『工事進行基準』が浸透していない中、安定経営においての棚卸しの重要性を訴えながら商品をPRしています。「工事実績が蓄積されていくことでデータベースとなり、会社存続への基盤システムになると思います。」小坂社長が常に考え続けてきた「100年続く会社」に向けて、盤石の基盤が誕生。経営判断の精度を高めて100年を目指します。

開発中心「IT推進会員会」

システム開発の中心となったのは、同社のIT 推進化委員会。建設・総務などの各部門から選出された8名で構成されています。実際に入力する人がより簡単に操作できるよう、各分野の意見を聴取し、使いやすさ・わかりやすさを重視して、調整を加えていきました。工事写真の貼り付けや出来高のグラフ化など、全体が把握しやすいように工夫されているのが特徴の一つです。
 建設部長の田中さんは「現場監督に操作方法を教えるのに苦労しました(笑)。」と当時を振り返ります。商品のアフターフォローとして、操作指導も行なっているとか。総務経理課長の野村さんは「複数の現場の状況を同時に把握することが出来るうえ、不測の事態が起きた時でも、 現状把握が出来ていれば手を打つことができる。」と、経理の立場から利便性を訴えます。
 現場と経理の連携プレーとなるシステムの運用、社員一人ひとりが収益をきちんと目にすることで、さらに責任感が強まりそうです。

IT推進委員会の代表メンバー

建設業を中核に、不動産仲介業や携帯電話販売業など、地域に密着して事業を拡大してきた小坂工務店 創業50年にあたる平成21年、小坂社長に経営がバトンタッチされた

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企業プロフィール

  1. ■社 名 株式会社小坂工務店
  2. ■代表者 代表取締役 小坂 仁志
  3. ■設立年 昭和44年
  4. ■所在地 三沢市南町4丁目31-3469
  5. ■電 話 0176-53-1711
  6. ■企業URL http://www.kosakagc.co.jp
  7. ■従業員数 40 名
  8. ■資本金 2,500万円
  9. ■採択年度 平成23 年度上期
  10. ■事業内容 中小企業向け「工事進行基準」ソフトフェアの開発・販売
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